ガラスは、珪砂(けいしゃ)という天然の砂から生まれます。
珪砂に石灰やソーダ灰を加え、1400度という高温でぐつぐつと煮ると水飴のような液体になります。
それを「竿」と呼ばれるパイプに巻き取り、職人が丁寧に吹き上げていくのです。
天然の素材なので、様々な個性が生まれることがあります。
また、手づくりが故の個体差が生まれます。
私たちは、それらを美しさや機能、強度を失わない範囲内で、「ガラスならではの表情」としてお届けしています。
ひとつひとつ、使い手の皆さんに心を馳せながら丁寧につくり、自然のめぐみに感謝をしながらお届けしてまいります。
私たちの品質ポリシーとともに、ガラスならではの特徴をお伝えします。
まずは、製品の中に表情となって生まれる、様々なガラスならではのことをお伝えします。
「ガラスを煮る」と、水が沸騰するときと同じように泡が生まれます。
多くの泡は液中を上昇し外に抜けますが、ガラスは粘度があるので、沸騰したお湯のように全てが上がってこないのです。
それを防ぐために、ガラスの温度を少し下げることにより、収縮し泡を押し出す効果を狙ったり、様々な工夫をしています。
しかし、ゼロにはなりません。
また、吹き竿にガラスを巻き取る作業の中で、どうしても空気も巻き取って閉じ込めてしまう場合もあります。
そのようなことで、大きな泡やグラスの口元の泡などが入ってしまったものは、規格外としていますが、小さく、使用に大きな支障のない気泡に関しては、ガラスならではの「表情」としてお届けしています。
なお、その気泡によって強度に影響が出ることはありません。
ガラスに入る「すじ」のことをバリ(脈理)と言います。
これは原料である砂の中に溶けきらない物があり、それが筋のような模様となって現れる現象です。
その他、耐火粘土でできているガラスを溶かす「るつぼ」が侵食され、生まれてしまうこともあります。
特に吹いて作るうつわについては、膨らますことによって長く伸びる現象が生まれたりします。
どちらも傷などではなく、天然素材であるが故に生まれるもので、デザインを損なわない範囲で大切にしています。
ガラスに光が当たると、その影の中にこの脈理がなんとも味わいのある影を生み出し、ガラスの手づくりならではの表情になります。
表面にわずかな傷が見られる場合があります。
制作の工程で、様々な要因で生まれてしまう傷は、できる限り生まれないように細心の注意をはらって作業をしていきます。
しかし、制作途中のガラスは500度以上の温度があり、絶対に手で触れることはできません。必ず何かしらの道具を使って触れなくてはならず、その跡が傷のように残る場合があります。
ガラスの表情、そして強度に影響をしない程度のものは、許容させていただいています。
原料に含まれていた不純物が溶けきらず、白や黒い点となって残ってしまうことがあります。また、ガラスを溶かすための「るつぼ」から生まれる場合もあります。
制作時にそのようなものをなるべく取り除いていますが、微小なものは天然素材ならではのものとして扱っています。
私たちは、機械を使わない、本当の手づくりにこだわっています。
安定した製品をお届けするために、刻々と表情を変えるガラスと対話をしながら職人の経験と感覚を頼りに成形をしていきます。
その中で生まれる個性をお楽しみいただければと思います。
当社では製品を一つの技法にとどまらず、様々な技法で生み出しています。
製法、デザインなどによって個体差は異なりますが、例えばシンプルなグラスの場合、外観のフォルムの誤差は1~2mm程度になります。
口部の厚みなども基準値を決めていて、製品により1.2mm(±0.5mm)などの誤差にとどめています。グラスの底の厚みも、竿先にあるガラスを職人が操りながら揃えていき、数mmの誤差の中でとどめていきます。
※製品ごとに基準値、許容範囲は異なります。
宙吹きと呼ばれる、型やガイドを全く使わない製法の場合、その誤差は数cmになることがありますが、見た目のバランスが崩れないよう細心の注意をはらいながら制作をしています。
重さを揃えるのも大変難しい技術です。
水飴のように溶けたガラスは固まるまで重さを量ることができません。そのため、職人の手の感覚のみで重さをコントロールしていきます。
常にその感覚を体に馴染ませながら、大きくバランスを崩すことのないように鍛錬しています。
製品の大きさ、デザイン、技法によって、許容する範囲は異なりますが、ある程度の違いはご理解ください。
グラスの容量も、個体差があります。
厚みの違い、重さの違いによって容量も変化します。
特に、ワイングラスなどステムウェアは、脚の長さの違いによりカップの形状も若干変化をするので、容量も変化します。
※カタログ(spec)に記載の容量は、口元まで注いだ際の基準値です。