1990年代世界への挑戦と、若手職人の感性

バブル崩壊で経済成長が終わると、ガラスのものづくりも厳しい時代となります。ベルリンの壁崩壊による東ヨーロッパ諸国の民主化は、東ヨーロッパのガラスの歴史や技術に、西側のデザインが入り、良いものが安く世界に流通するなど、ガラスの世界も大きな転換期となりました。
Sghrでは、デザインを学んだ若手職人による個性溢れる製品が多く生まれ、大ヒット商品「DUO」が生まれたのもこの時代です。MoMA・ニューヨーク近代美術館で赤色のツボが取り上げられ、海外進出のきっかけになるなど更なる飛躍で次の時代を迎えます。

Pickup Series

エンジェル
若手の女性職人によるデザインで、今までにないような羽の生えたガラスというやわらかい感性が目新しく、大ヒットとなりました。90年代後半は、こうした若手職人の感性が光る製品が多く登場しました。また、女性職人が活躍し始め、それは今日まで続いています。このエンジェルは、工房のそうした時勢を象徴するような製品です。
ダ カーポ エム
シンプルな形状にゆるやかなラインが入ったグラス、ダ カーポ エムです。表面に緩やかなラインが伸びていることでグラスがより輝きます。80年代の製品ですが、現代のデザインとしても通用する表情をしています。この緩やかなラインをモールという器具を使い、絶妙な塩梅で入れて、かつ安定的に製造するのは技術的に大変難しいのです。
アダージオ
当時、発表と同時に大ヒットしたアダージオは、Sghr の歴代ヒット作の一つです。特にフロスト加工(艶消し)したフラワーベースが人気でした。あまりに人気だったので、類似品が市場に多く出回りました。また1996年はデュオも同時に大ヒットをしました。90年代はとても多くの新製品を生み出した時代でした。

1990年代